かてぃん氏の演奏をはじめて聴いたのは2019年東京ＭＸＴＶで放送されたストリートピアノ特集でした。さなえさん、よみぃさん、フォルテさん、むーりんさん他、我が国におけるストリートピアノブームの先駆者たちが集まった催しものでした。その中で、かてぃん氏の演奏には惹きつけられました。彼の木枯らしの演奏はショパン音楽の限界領域ゆえに生まれた力強さと美しさがとても明解に奏されているような気がします。 また私の主観なのですが、演奏そもそもが非常に心地よく、いつまでも何度も聴いていられる疲れを感じないエチュードといえます。なぜか英国の音楽家、マイク・オールド・フィールドが作り出した作品3（オマドーン）を聴いているような感覚があったので森の背景をつけてみました。マイフェイバリットです。 ショパンの木枯らしそのものはイ短調という曖昧な調性の影響か古い英国ロックの歌詞が思い浮かびます。その一節を記しておきたいと思います。 ムーディーブルース：「憂鬱をかき集めて深く息を吸うのがいい。どの部屋からも明るさが失せていくのを見るがいい。白いサテンに覆われた夜は、もう明けることはない。すぐ目の前にあった美を僕はいくつも見逃してきた。真実がなんなのかさえ、もう語ることができない」ジェスロ・タル「道徳は混乱、伸縮する撤退戦で終幕のベルがなる。最後の波が最新流行の内幕を露わにする。賢者たちにはわからない。煉瓦のように寓鈍であるのがどんな感じか」キング・クリムゾン：lt is spring,moonless night in the small town,staress and bible-blak (時は春、小さな街の月のない夜、星ひとつない夜、星ひとつない聖なる闇） The Lettersより「鳥の羽と銀のナイフで彼女は毒を帯びたペンを作ったのだった。涙でなにも見えなくなったまま一日中駆けずり回っていた。氷の釘で突き刺されエメラルドの炎で痛めつけられ魂が雪のようになった彼女は落ち着いた手つきで書き始めた。私は冷静です。もう人生など必要ありません・・・どうせ朽ちるこの体に別れを告げることにします」あなたを道連れに。
